依頼をするときには、依頼の概要、スケジュール、予算など、相手から「これはどうなっていますか?」とたずねられそうなことはすべて決まっているべきです。さらに、これらの内容がA4で2枚ほどの書類にまとめられているのが望ましいのです。 私の会社にくる依頼でもよくあるのですが、突然電話がかかってきて、「これこれこういうことをお願いしたい」と、「そうですか。では詳細をFAXかメールで送ってください」と言うと、それから詳細が送られてくるまでに1週間くらいかかる…。 つまり「とりあえず連絡」して、連絡が取れたら詳細を書けばいいと思っているわけです。 (中略) 依頼をするときには依頼状ができあがっていて、「資料を送ってください」と言われたらすぐに送れるようにしておくこと。(p.58)
- やめる:とりあえず依頼する
- 始める:先にすべて決めておく
依頼をするときには、相手と自分に接点があるかないかで、興味を持ってもらえるかどうかに差が出てくることになります。 ある都市を拠点にしている会社や人物に対して、「実は父の転勤で、短い間だけれどそこに住んだことがあり、大好きな土地です」「学生時代、サークルの合宿で1週間滞在して、すっかり気に入りました」という1行を書けるかどうかで大きな違いがあります。 自分と相手とのつながりを探し出す努力はしたほうがいいのです。依頼に説得力を出すためには、自分と相手とをつなぐ何かを探すことが大切ですから。(p.36)
- やめる:依頼内容のみに終始する
- 始める:自分と相手とをつなぐ何かを探す
組織に新人を入れる場合、「若い考え方」が求められているわけです。仕事の経験がない人間にビジネス理論を期待するわけがなく、それよりは、その新人が今まで生きてきた中での、消費行動や偏愛行動を話してくれるほうが、組織にとっても意味があります。だから、若くても新人でも「私にはなにもない」と思う必要はないのです。 ミクシィやツイッターになじんでいる若い世代は、好きなものや興味のあるもののストックはたくさんあるはずです。ですから書きっぱなし、つぶやきっぱなしにせず、ときどき振り返ってみると、自分でも気づかなかったことを見つけることもあるでしょう。 自分に対する取材をして、自分でも気づかなかったこと、忘れていたことを掘り起こすことは、良い依頼をするうえでもプラスになります。 こんなふうにして自分を知っておけば、依頼のときに役立つだけでなく、さまざまな仕事の場面で使える話題のストックを増やすこともできます。(p.35)
- やめる:「私にはなにもない」
- 始める:今まで生きてきた中での、消費行動や偏愛行動を話す
入社したばかりで、キャリアの少ない会社員などは、「自分のプロフィール」などないと思うかもしれません。 そんなときは、仕事とは関係ないと思うかもしれませんが、自分が生まれたときから、今にいたるまでを振り返ってみることからはじめるといいのです。生まれてから今に至るまで、5年ごとぐらいを目安に、自分が置かれていた環境、自分がやったことを振り返る。 まず、自分が以前住んでいたり、今住んでいる場所というのはプロフィールとして重要です。 (中略) 若いときは特に、自分にはとりたててアピールできるようなプロフィールはないと思いがちですが、自分が住んだことがある場所、あるいは家族や親戚が住んだ場所は、それだけで売りになります。 特に年長者との会話ほど、こういう情報が話のネタになり、会話がはずみやすくなります。(p.32)
- やめる:自分にはとりたててアピールできるようなプロフィールはないと決めつける
- 始める:自分が生まれたときから、今にいたるまでを振り返ってみる
ちなみに、依頼がうまい人は転職もうまくいくことが多いのです。転職先にとってアピールできるプロフィールが書けるからです。 私の場合も、本を書いたり講演をするたびに、そのメディアに合わせたプロフィールを書いています。同じプロフィールを使い回している人も多いのですが、それぞれの仕事ごとに必要とされるプロフィールは違うものだからです。 相手のニーズに合わせたプロフィールを書くことが大事です。(p.31)
- やめる:同じプロフィールを使い回す
- 始める:相手のニーズに合わせたプロフィールを書く
たとえば、同じ業種の人や会社に依頼をする場合、紹介の中に業界についての説明を入れる必要はありませんが、異業種の人や会社が相手ならば、自分を説明する前に業界についての概略を伝えなければならないのです。 ですから、自己紹介(自社紹介)のフォーマットはパターンを変えて複数用意しておき、さらに依頼ごとに細かく修正していく必要があります。 そのためにも、自分の履歴書や職歴書は毎年更新しておくとよいのです。 自分がどんな仕事をしてきたのか、具体的なことは意外と忘れてしまうものです。また、遠慮や謙遜から、実績を言わない人もいますが、仕事においてそれが有益な情報であれば、しっかりアピールしましょう。 自分が「この仕事にふさわしい依頼者である」ということを、最初にきちんと相手に伝えるべきなのです。(p.29)
- やめる:1回作ったらずっと使い続ける
- 始める:自分の履歴書や職歴書は毎年更新する
きちんとした依頼ができない人は、何が問題なのでしょうか? 依頼には準備が必要だと書きました。 準備段階で相手と企画に関係する情報を知り、相手のことが必要だと説得することはとても大事です。 そして、相手のことを知るのと同じくらい、自分のことを知ることも大事なのです。依頼においては、「自分をうまく紹介すること」も必要です。 なぜなら、どんなに相手のことを調べて、仕事を依頼したいとアピールしたとしても、依頼した相手に「この会社やこの人と仕事をしたい」と思わせなければいけないからです。 依頼には、相手を知ることと、自分を紹介することのどちらが欠けてもいけません。「的確に相手をほめ、的確に自分をほめる」ことが必要なのです。(p.28)
- やめる:相手のことだけにフォーカスする
- 始める:自分をうまく紹介する
さて、今まで依頼状を書いたことがない人や、なんとなく依頼状を書いてきた人に私がすすめたいのは「エアギター」ならぬ「エア依頼」です。 自分がやりたいことがあったら、まず「エア企画書」や「エア依頼状」を書く。「仕事でも夢を持とう」などと多くのビジネス書に書かれていますが、もしそれが本当にやりたいことならば、「夢」などと言っていないで、具体的な方法を探して考えてみたほうがよいでしょう。 私も実現がむずかしそうな仕事でも、エア企画書やエア依頼状をよく書いていました。多くはもちろんエアのままで終わりましたが、実現したものもいくつかはあります。 やりたいことがある、こんな仕事をしてみたい、というアイデアがあるならば、「エア企画書」を書いてみる。 その企画書をもとにして、より具体的に「エア依頼状」を書いてみると、その仕事を実現するために何が必要かが見えてきます。(p.26)
- やめる:夢を持つ(だけ)
- 始める:「エア企画書」や「エア依頼状」を書く
「問い」を深めるための方法をいくつか紹介してきたが、すべてに共通する大切なことは、たった一つしかない。 「あきらめない」ことだ。 私はよく学生たちにいう。 「世の中、あきらめの早い人がたくさんいるから僕は得したよ」と。 才能や能力だけでいえば、私より優秀な人はたくさんいた。 でも、みんなあっさりとあきらめてしまった。そして最後に、私のようなしつこい鈍才が生き残ったのである。 彼らは頭がよすぎたのかもしれない。 頭のいい人には「自分にはわかる」という自負がある。それだけに、すぐにわからないことに出会うと「それは僕の専門じゃないから」という台詞を言い訳にあきらめてしまうのだ。 実は、こうしたあきらめの早さは日本人特有のものかと思っていた。ところが、あるときフレドリック・ジェイムソンが論文表題で「It's not my major.(それは私の専門ではない)」といっていたのに出会い、ああ外国の学者も同じなのかと知った。(p.75)
- やめる:「それは僕の専門じゃないから」 → あきらめる
- 始める:「それは僕の専門じゃないから」 → しばらくやってみる
たとえば、中小企業の経営者で「今年の売り上げを○○億円にするためにはどうすればよいのか」という問いを持っていたとしよう。 こうした問いでも、現在わかっていることや予想や問題点など、漠然と頭の中にあることを書き出して明確化させなければ、実現可能な計画はつくれない。 もちろん、この場合は書いたものをさらに実行するハードルが残されているが、書かなければ、そのハードルにたどり着くことさえできない。 文章化していく中で気づくことは多い。書かなければ、自分の中にあっても、気づけないものはたくさんあるのだ。(p.74)
- やめる:考えるだけで済ませる
- 始める:漠然と頭の中にあることを書き出して明確化させる
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